手組ホイール 試作5号フロント 製作と試走
前回試作4号フロントをラジアル組に改変したものを使用してみて、あまりの振れの出やすさと横剛性の無さに激坂で苦しんだわけですが、これで縦横剛性の必要性を再確認することができました。
⇒⇒⇒手組ホイール 試作4号フロントをラジアル組に改変 そして試走
縦だけでもダメ、横だけでももちろんダメ(横だけ出すのはかなり難しそうな気がしますが)。両方無いと良いホイールとは言えません。
- 試作5号フロントの剛性のバランスを考える
- 試作5号フロント 製作
- SCULTURAに試作5号フロントを装着
- 試走1 別大国道を走る
- セグメント 弁天大橋東→舞鶴橋T.Tのタイム
- 試走2 平成森林公園を登る
- セグメント 田尻TT 試作5号のタイム
- 試作5号フロント 総評
試作5号フロントの剛性のバランスを考える
縦横剛性を両方出そうとすると、どうやってもスポーク本数が増えます。
スポーク本数が増えると重量増となり、さらには空気抵抗も増えて高速域(主に50km/hの領域)が辛くなります。そんなに出さないという方には関係ない話ではありますが。
しかし手組では剛性と軽さを両立させることはほぼ不可能と言っても過言ではありません。両立できるのは完組の20万クラスカーボンホイールだけです。
手組にできるのは、軽さを取るか剛性を取るかですが、そこらへんの調整はある程度効きます。
軽さ・・・●・・・・・・剛性
これを、
軽さ・・・・・●・・・・剛性
こうすることはできるのです。
ゲームで例えてみると、パラメータが10しか振れないのが手組、20振れるのが完組の20万クラスカーボンホイールということになります。
完組でも安いもの(4~5万クラス)だと、振れるパラメータが手組とほとんど変わらない(20万クラスカーボンホイールよりも性能が低い)ので、組み方によっては同金額の手組で完組の性能を上回れるというわけです。
完組で全パラメータを剛性に振っているようなホイールはディスクホイールくらいしか思い浮かびませんが(他にあれば教えてほしいです。コメントお願いします🙇)、ディスクホイールはオールラウンドに使えません。
そして完組ホイールはペア重量の数値で選ぶ人も居るので、20あるパラメータのうちせいぜい振っていて剛性に10でしょう。それ以上振るといかに完組といえど重くなります。(そういう人向けに作られた完組もあるようです)
手組はパラメータが10しかないので、これに対抗するためにはペア重量1800gとか1900gとかにしてでも剛性に全振りして、軽さを捨てるしかありません。
剛性に全振りすると魔改造鉄下駄のようになり、軽さに振ると試作1号のようになる。
というわけで、
試作5号フロント 製作
早速組みました。
今回はラジアル組ではなく、縦横剛性バランス重視の4本組イタリアンです。
使用したものは、
- 試作3号を組む際にバラした試作2号のリム(TNI AL22 32H)を再利用
- CNスポーク シングルバテッド2.0-1.8 288mm
- TNI エボリューションライトハブ 32H
- 星スポーク アルミニップル #15(12mm Φ1.8mm)
材料費は1万円以内で収まりました。
今回使うスポークはダブルバテッドではなく、シングルバテッドなので在庫があるΦ2.0mmニップルを使い回すことができないために、星スポークの#15のアルミニップルを購入しました。
正直な話、星スポークのアルミニップルは舐めやすいなど評判がよろしくないようで、DTSWISSのΦ1.8mmアルミニップルが欲しかったのですが、国内通販から海外通販までどこもかしこも売り切れ品切れ御免で手に入らず(T_T)、フロントはそこまでスポークをキンキンに張ることもないのでおそらく大丈夫だろうということでこっちを選びました。
試作5号フロント 仮組み状態 重量測定
642g
CNスポークのバテッドが効果を発揮しているのか、スポーク数が4本少ない28Hの試作4号イタリアン組と比べると14gの重量増で収まりました。
ただこのTNI AL22はリム重量が確か試作4号のリムよりも10gほど重かったような気がするので、スポークによる重量増はおよそ4gほどということになります。
シングルバテッドスポークはやっぱり軽いんですね。
仕上げ後 改造リムテープを装着し重量測定
また苦労しまくりまryで仕上げをして改造リムテープを装着して再び重量測定すると、
645g
試作4号イタリアン組が631g、試作4号ラジアル組が626gなので、そこまで大きな差にはなっていません。
スポークの本数が増えたことによる空気抵抗増加はどの程度か、坂の剛性はどのくらい変わるか?
余談ですが、パークツールTM-1テンションメーターの数値25ほどで張りましたが、星スポークのアルミニップルは全く舐める気配もなく普通に組めました。
これはもしかするとスポークレンチの精度が悪かったりすると舐めやすいのかもしれませんね。参考までに私はパークツールのスポークレンチSW-42を使用しました。
DTSWISSのニップルはSW-40を使用。星スポークのニップル用に2種類持っておくと困らないと思います。実際困りませんでした。
SCULTURAに試作5号フロントを装着
フロントホイールだけリムが黒なのでかなり浮いてますね(;´Д`)
さて、これでどのくらい走りが変わるか、早速試してみました。
試走1 別大国道を走る
走り出しの軽さは試作4号イタリアンとほぼ同じ。
安定感は試作4号ラジアル組よりも上です。
40km/hほど出してみてもフロントの抵抗感は試作3号よりも少ない感じがします。
ただ、ダンシングをすると試作4号ほどではないですが、やっぱり若干たわむ(;´Д`)
スポークの本数が増えたけど質量が大差ないからか、2.0mmのプレーンで組んだ試作3号よりもフロントが柔らかいです。
賀来から別大へショートカットするコースを走りまして、このコースは小さな丘がありますが、平均勾配は県道205号線と同じような感じなので普通に登れました。
よって緩斜面は問題なし。
別大は信号運に恵まれずごく平凡な記録に終わりましたが、
セグメント 弁天大橋東→舞鶴橋T.Tのタイム
河川敷に広い道があるのですが、そこでガチ漕ぎしてみたらなんと2位にランクイン!
風向きが良かったのもありますが、50km/hでもフロントの抵抗感が少なかったです。
シングルバテッドスポークの効果が出てるのかもしれません。
緩斜面と平坦は問題なしで十分使えるレベル。あとは10%以上の激坂です。
試走2 平成森林公園を登る
また別の日に平成森林公園を登ってきました。
ここは九六位山ほどの激坂ではありませんが、勾配10~12%が続く区間があり、距離も長くホイールの剛性を試せます。
というわけで登り終えて、結論から言うと、
剛性不足(´・ω・`)
やっぱり激坂でダンシングするとたわみました(;´Д`)
そして例のごとく、
シッティングで軽いギアでないと進まない
↓
軽いギアで心肺終わる
↓
休むダンシングをする
↓
重いギアで進まないのでダンシングで脚が終わる
↓
心肺と脚が両方終わってタレる
という、剛性不足の症状であるコンボが発動しました。
試作4号のラジアル組、イタリアン組の両方よりは進むような気がしましたが、試作3号には遠く及ばない。。。
タイムももちろん平凡だったため割愛します。
セグメント 田尻TT 試作5号のタイム
平成森林公園に行くまでの間にある平坦セグメントで、
3位にランクイン(;・∀・)
このフロントは、平坦だけのライドならわりと強いかもしれません。
帰宅した後にホイールの様子を見てみると、わずかな初期振れが出ていました。
ただし、ラジアル組の試作4号よりも振れは小さいです。
やはり手組はラジアル組よりもタンジェント組のほうが振れにくいようです。
試作5号フロント 総評
メリット
- 平坦巡航は試作4号フロントよりも楽
- 登坂性能は試作4号よりも上だが、大きな差ではない
デメリット
- 剛性(登坂性能)は試作3号よりも弱い
- これで山岳コースの長距離を走ると、おそらく後半かなり疲れる
やっぱりリムの剛性とハブの剛性が足りていないのかもしれません。
エボリューションライトハブは軽さにパラメータを振っているハブで、ハブのフランジが小さいのもあり、さらにリムはハイトが小さく軽いTNI AL22。この組み合わせだとどんなにスポークを増やしたとしてもおそらく剛性を出すことは不可能。というか、このリムは32Hまでしかラインナップに存在しないので、これ以上スポークを増やすこともできません。
試作3号に付いているハブはカンパのレコードハブ。リムはXR-19Wで剛性もあります。ハブのフランジはもちろんエボリューションライトハブより大きく、同じERDのリムを使用してもスポーク長を短くできます。スポーク長を短くできればそれだけスポークのたわみ量も減ります。ということは間違いなくこっちのほうが剛性は上。
結論:ハブの剛性とリムの剛性両方なければ、どんなにスポーク数を増やしても大して変わらない。
今回の製作でこれがよくわかりました(´・ω・`)
というわけで、実はもう試作3号フロントを再調整しているのですが、現在(2021/08/19)まで大分県は大長雨が降っていて、1週間以上まともに乗れていません。
厳密に言うと乗れるチャンスは1回あったものの、その日は大長雨によってしばらく買い出しに行けなかったこともあり備蓄していた食料が枯渇していたために、これだけ大長雨が続くと次はいつ買い出しに行けるか不明だったので、大量の買い出しをするはめになり、乗れる状態になったのは夜。しかも乗っている間にポツポツと降り出して、乗れたのは結局1時間あまりという。゚(゚^ω^゚)゚。
この大長雨であちこちで大災害が発生していて、正直、降りすぎだろ!と思います。
年間降水量の半分以上が1週間で降ってしまった地域もあるようで、だんだん地球がおかしくなっていってるなと。
これも人間が高度経済成長期に地球のことを考えず好き勝手やっていたツケなんだろうなと。
少しでも温暖化を食い止めるべく、環境に優しい0ccの自転車に、私はこれからも乗り続けようと思います。
ではでは(^-^)/
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